トプコン FAQ     (有)山口商店 2004/11/06  


GPS&GNSS Q&A

▼電子基準点関連

 

GPS衛星に新たなコードと新たな周波数ができると聞いたけど?

2003年以降に打上げているBlockUR衛星は現在使用しているL2帯にC/Aコードを出力する機能を有し、従来は「C/AコードはL1帯のみ」でしたが2011年の稼動を目指して「L2帯にもC/Aコードを準備中」です。また、L1・L2帯の他にL5帯(1.17GHz)を新たに加える計画もあり、2005年以降に打上げるBlockUF衛星から採用される予定で、2015年の稼動を目指した計画です。

 

GALILEO(ガリレオ)計画って何ですか?

EU(欧州連合)は1994年頃から衛星航法システムを検討し、当初はGNSS-1として広域なD-GPS補正データの送信サービスを、GNSS-2として欧州独白の衛星航法システムを計画しました。その後、1999年にGNSS-2は「GALILEO計画と改称」され、2008年の衛星打上げを目指し準備中です。この計画が実現されれば、高度23,200qに30基の衛星が14時間21分周期で周回する予定です。
GALILEOがGPSやGLONASSと大きく違う点は、GPSやGLONASSは軍が管理していますがGALILEOは民間が管理するところです。なお、打上げは2008年に開始されますが実用化までには更に時間が掛かると思われます。

 

準天頂衛星計画つて何ですか?

日本が独自に計画をしているもので、人工衛星は地上から見ると日本とオーストラリア間を8の字型の軌道を描きながら、1日1回傾斜角と同じ南北緯度の上空まで達します。軌道面には3個の衛星を配し、常時1機以上の衛星が高仰角に位置するためにビルなどの影響を受けにくく、大容量通信やGPS衛星の補備衛星として使用します。
つまり、準天頂衛星が完備されたからといってGPS衛星が不要になるなど大きな革新がある訳でなく、あくまでGPSの補備衛星と考えれば現行のGLONASSと変わらないものとなります。

 

GLONASSや将釆GALILEOや準天頂衛星を使用するメリットは?

GPS衛星は6軌道面に4個の人工衛星を配しバックアップ衛星を含めて27衛星(3月2日現在)ですから、ビルの谷間や山間部ではGPS衛星のみでは衛星個数が少ない場合が考えられます。特にRTK-GPSでは、固定局と移動局の共通衛星が最低の個数(5個)であった場合に初期化の時間が掛かってしまいますが、GLONASSなどの衛星はこの問題を解決するため補備的に使用することができます。つまり、補備衛星を使用することによって観測精度を上げる訳でなく、測定不可能であったエリアが可能になったり、RTK-GPSの初期化スピードをアップすることを目的としています。

 

仮想基準点方式RTK-GPSに全ての作業が移行するのですか?

本年中には仮想基準点方式RTK-GPS(以下、VRS/FKP)の作業マニュアルが作成・運用されると思いますが、しかし、全ての作業がVRS/FKPに移行するとは考えられません。
VRS/FKP最大のメリットは受信機1台で観測が可能な点ですが、電子基準点のデータを使用している関係で観測不可能な場所や精度的に不安定な場所が発生します。また、VRS/FKPはあくまでRTK-GPSの延長ですから、精度を要する作業にはスタティックや短縮スタティックが必要ですし、場所によってはRTK-GPSも必要です。
VRS/FKPは「魔法の方式」ではありません。必要精度などを考慮して使用することで、大きなメリットが得られると思います。

 

VRS/FKPに特化した受信機はありませんか?

GPSを利用した測量作業には次のような方式がありますo

GPS測位 ┳━ D-GPS(ディファレンシャル方式)

        ┃

        ┗━ 干渉測位 ┳ スタティック法

                      ┣ 短縮スタティック法

                      ┣キネマティック法

                      ┃ (リアルタイムキネマテイック法)
                      ┗ 仮想基準点方式
                          RTK-GPS(VRS/FKP)


トータルステーションは「1ユーザーさんの中で必要精度に応じて測角精度や測距精度の違う数種類の機器を必要」としますが、GPS受信機の魅力の一つに「観測時間・観測間隔や観測手法を変えることにより、色々な精度の作業を一つの受信機で行える」ことがあります。
VRS/FKPで全ての作業が完結できればその受信機は魅力的であると思われますが、実際は高精度な測量作業もあれば若干精度的に緩い作業も受注されると思います。VRS/FKPに特化した受信機があったとして安価であっても、それではごく限られた精度の作業しか使用できない不便な受信機になってしまいます。
“LEGACY"シリーズや“GR-2000"シリーズ・“GB-1000"シリーズの2週波受信機は、全ての観測方式に適応しています。スタティックからVRS/FKPまで全てに対応できてこそ、「測量用GPS受信機」であると思います。
また、技術の進歩は日進月歩であり、数年後にはVRS/FKPよりメリットの多い観測手法が現れるかもしれません。そのような場合でも、現行の受信機はファームウエア(受信機内のソフト)やソフトウエアで対応できる可能性がありますが、ある一つの方法に特化した受信機では対応できない可能性もあります。

 

上記のQ&Aは、(株)トプコンよりの情報をもとに作成し、ご紹介しています。


  


▼電子基準点関連

 

電子基準点とは何ですか?

電子基準点とは国土交通省国土地理院が運用している地震予知、火山噴火予知の調査研究のための広域近く変動監視を目的とし、また各種測量の基準点として利用する為に設置している基準点です。
2004年3月現在、全国に1,224点が運用され24時間体制で連続観測しており、観測データはリアルタイムで、つくばの国土地理院GPS中央局へ集められています。
中央局ではデータ管理及び解析が行われ、地震・火山噴火予知等の地殻変動監視を行っています。大きな地震の数日後には新聞等で「○○が15cm移動した」ような内容の記事を目にしますが、これは電子基準点で計算された結果の地震前と地震後を比較したものです。

 

電子基準点は、全国どのように配置されていますか?

全国的には20〜25km間隔で設置されていますが、特に、南関東や東海地域(地震発生が予想されている地域)については10〜15km間隔で設置されています。
また、設置する土地の問題(借地)や電力・通信等を考えると山地は少なく、平野部中心となっています。

 

電子基準点で受信したデータはどのようにして集めて利用されていますか?

全国の各電子基準点で受信した各種データは、IP-VPN網によって国土地理院の総合管理装置に集められます。このデータは1秒及び30秒間隔でサンプリングされ利用されています。1秒サンプリングデータは、配信機関として指定されている社団法人日本測量協会の配信装置から、位置情報サービス業者(VRS・FKP配信業者)に配信されます。位置情報サービス業者とは、電子基準点データを一般利用者にデータを加工して、サービスを行っている事業者です。また、30秒サンプリングデータは、RINEXデータに変換され、国土地理院のホームページから提供されています。
従来はこのRINEXデータは取得後3〜5日後にしかダウンロード出来ませんでしたが、現在は、3時間分のRINEXデータに分割され、取得後約3時間にダウンロード可能になりました。

 

RlNEXデータとは何ですか?

RINEX (Receiver Independent Exchange fomat) データは、異なるGPS受信機、ソフトウエア会社間のGPSデータの交換のために使用される標準フォーマットで変換したデータをいいます。GPS受信機で収録したデータは、各GPS受信機メーカーによって収録データ形式が違っており、このデータを利用して解析するには、各メーカー独自のソフトしか使用できません。RINEX形式のデータに変換すると、どのメーカーの解析ソフトでも対応することが可能となります。これで電子基準点内の受信機が複数のメーカーが混在しても問題が無いわけです。

 

電子基準点データは公共測量に利用できますか?

電子基準点の観測データは、基本測量、公共測量における基準点測量の既知点データとして利用できます。これらの観測データは、国土地理院のホームページから電子基準点データ提供サービスより入手することが出来ます。
電子基準点データは、異機種間の基線解析に対応したRINEXデータとしてファイル変換されています。

 

電子基準点を1級基準点測量に使用したいのですが?

電子基準点は全ての測量の既知点として使用できますが、電子基準点のみを既知点として使用できるのは、公共測量においては1級基準点測量だけです。この場合には、既知点とする電子基準点は作業地域に最も近い電子基準点を2点以上使用しなければなりません。
電子基準点を既知点として使用できることにより、公共測量における大幅な作業率の向上が期待できます。

 

ネットワーク型RTK-GPS方式は、公共測量に使えますか?

国土交通省公共測量作業規程に定められている使用機器、作業方法を用いることにより経済性、作業の遂行又は成果に良好な影響を及ぼす等の場合には、作業規程の第16条「機器等及び作業方法に関する特例」によって、それらの適用への道が開かれています。
平成16年度に国土地理院において「ネットワーク型RTK-GPSを利用した公共測量作業マニュアル(案)」が作製(同年7月1日公開)されました。これらによりネットワーク型RTK-GPS方式は、公共測量の3級及び4級基準点測量に使用できます。平成16年9月現在では、未だ用地測量・応用測量への使用は認められていません。

 

上記のQ&Aは、(株)トプコンよりの情報をもとに作成し、ご紹介しています。